ヴィヴァルディのコンチェルト『調和の霊感』
- 栗原ヴァイオリン・ピアノ教室

- 6 日前
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最近、ふとしたきっかけで聴いたオーディオブック「ピエタ」。大島 真寿美さんの小説です。書店で見かけて、「憐れみ」を意味するタイトルだな、とは意識していたのですが、紹介文を読んで、作曲家ヴィヴァルディが関わっていた「ピエタ慈善院」の話だと知り、聴いてみることに。
舞台は18世紀のヴェネツィア。司祭でもある作曲家ヴィヴァルディは、女の子の捨て子ばかりを集めて音楽を教える孤児院、ピエタ慈善院で音楽の指導や作曲をしていました。ヴィヴァルディは作品数の膨大な作曲家として知られていますが、その多くがピエタ慈善院の生徒たちのために書かれたと言われています。物語は彼が遠く離れたウィーンで亡くなった、という知らせが届くところから始まります。当時、ヴェネツィアには音楽文化が華麗に花開き、この慈善院の楽団は非常な名声を誇っていました。
ピエタ慈善院出身で、成長してからはピエタの運営に携わっていた主人公エミーリアは、かつて共にヴィヴァルディ先生の教えを受けた幼馴染の貴族の令嬢から、とある楽譜を探すよう頼まれます。楽譜探しはなかなか思うようにはいかないのですが、探索を通してヴィヴァルディ先生と関わりのあった人々と触れ合ううちに、なぜ先生がヴェネツィアを去ったのか、その秘めた思いを発見し、また自分自身の抱えてきた迷いや、友人たちの知られざる心の内に向き合っていく、というストーリーです。
ヴィヴァルディといえばまずは「四季」を思い浮かべますが、この物語の中で印象的に語られるのは、「レストロ・アルモニコ」。日本では「調和の霊感」というタイトルで知られ、全12曲からなる協奏曲集です。
この曲集の中の第6番は、主要なヴァイオリン教本では必修の曲で、私の中ではすっかり「ポジション移動を習得したら学ぶ、中級レベルのバロック時代の作品」という曲になってしまっていました。 改めて当時の時代背景や作曲家の曲に込めた思いなどを知ると、聴き慣れ過ぎてしまった曲が、なんと生き生きと躍動感をもって感じられることでしょう!
ところで物語の途中から発見がなかば諦められてしまっていた楽譜ですが、終盤に思わぬところからひょっこりと…ヴェネツィアの風景や音が心に浮かび、その時代を知らないのに懐かしさを覚えてしまうような、素敵な小説でした。朗読には演奏もついています!ピエタ慈善院の建物は、現在でも残っているようです。ヴェネツィア観光の際は訪ねてみるのもいいですね。




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